本多孝好『チェーン・ポイズン』講談社文庫

ネタバレ注意。

連続自殺事件の謎を、その渦中の女と事件を追う記者、二人のモノローグで描く長編。

ネットを介した自殺幇助事件をヒントにしたとおぼしいプロットだけど、こうして「死」を真正面から扱ったものの方が、バタバタと人が死んでく絵空事より、その重みを軽んじているような印象があるのはなぜなんだろう…こないだ読んだ金城一紀作品からも似た印象を得たけれど。この作家もよく「死」を中心にお話を作るけど、「firefly」とかいい印象の作品との違いはなんなんだろうな。マンネリを感じるほどに熱心な読者でもないし。

結局は小説としてのクオリティという話に帰着するのだろうか。その意味ではサプライズの仕掛け含めてチープさがあって手応えに乏しいし、女性一人称の章の大半を占める児童養護施設の扱いも、短絡的で阿漕な感じがして厭だった。

評価はC。

チェーン・ポイズン (講談社文庫)

チェーン・ポイズン (講談社文庫)