山田正紀『花面祭 MASQUERADE』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
華道流派の周辺に連続する事件と、かつて戦中に起きた天才華道家の死、彼が遺した「しきの花」の謎を巡る連作長編。
舞台・道具立ては目新しく、それぞれ四季を司る「四天王」とかいう中二が疼く設定もあり、「密室」の変種とテキストをめぐるアイデアも悪くないけど、なぜだか全体にちょっと物足りないのは、ところどころ短絡的な描写やストーリィの接続が目について、舞台立てに相応しいだけの耽美性が出せていないからだと思われました。字義通りの「異色作」、山田正紀の筆質にはちょっと合ってないかなーと。「しきの花」の正体についても、演出しだいでもっとカタルシスのあるものになったようにも思いました。
花葬パーティー」なるシリーズ原題からも連想されるところだけど、この題材、連城三紀彦で読みたいなーなんて失礼なことを思ってしまいました。
評価はC+。