横道誠(編)『みんなの宗教二世問題』晶文社

ネタバレ特になし。

宗教二世問題に関する、当事者証言や識者論考、海外研究事例の論点整理や関連創作紹介など。

やはり当事者証言が興味深くて、多くの証言者が信仰の過程で精神バランスを崩している点が注目される。本人が信仰に喜びを見出していても(あるいは周囲からそう見えていても)、家族の機能不全、信仰外世界との違和や軋轢に、心が軋みをあげている様が容易に見て取れた。そら家族総出で騙されてるんやから、かわいそうですよ。

人の弱みにつけ込むカルトの邪悪と、それが蔓延る社会の脆弱さに改めて義憤が燃え滾ります。まして政治権力がそれと癒着してるなんてこの世のものとは思えない醜悪さ、万死に値するとはこれを措いてないですよね。

エホバの証人二世、マリコさんの母親に対する証言、カルト信仰を《死ぬまでやっていてほしい》、《だって辞められたら、彼女が間違いを認めたら、私が可能性をぜんぶ潰されたことが、ほんとうにただの過ちになってしまう》(47P)…。重い。

評価はB。