小田実『小田実全集 評論1 何でも見てやろう』講談社(復刊ドットコム)

ネタバレ特になし。

フルブライト奨学金によるハーバード留学に始まりつつ、やがて世界一周貧乏旅行記となる、東大生作家の見聞録。

戦後日本で最も成功した(?)社会運動、ベ平連を率いることになる著者らしく、バイタリティと大らかさ、人間的な魅力と器量を感じさせる内容ではある。もっと現地エピソード的な記述が多いかと思ったが、金銭的な限界からも行動範囲が結構狭くて、その分比較文化学的考察の割合が多くてそっちで読ませてくれる。

世界のどこでも、時代のエネルギィを感じさせる筆致は著者の人間性の反映か、あるいは近過去に対するノスタルジィなのか。特にメキシコとか、ええよな…。

評価はB-。