『クラッシュ』

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現代ロサンゼルスを舞台に、レイシズムが絡むいくつかの衝突を描く群像劇。アカデミー作品賞。

重く切実な主題で、それを暴く視線にも容赦がないが、登場人物たちは彼らがどの立場に身を置くものであれ人間臭くて感情移入できるし、そうした人々が様々に「衝突」しながら展開されるドラマには吸引力と、最終的には感動的なカタルシスがある。

ある意味では古典的でありながらも、現代においてなおまったく切実さを失わない主題…レイシズムの根深い病理を正面から描きながら、それを映画表現として伝える力…テンポ感、エンタテインメント性を失っていない、すぐれて社会派たる仕事。

あのシーンのスチールをメインヴィジュアルにしてしまうのはネタバレの誹りを免れないと思うが、でもやっぱいい写真だよね。