eastern youth 『SONGentoJIYU』

14thフル。

そうさ
どう転んだって俺は俺
握り締めた生存の実感は
誰かの手に委ねちゃいけねえんだ
誰かの手に渡しちゃいけねえんだ
(「ソンゲントジユウ」)

高らかに、切実に放たれる、個としての尊厳と自由への希求。《そうだろ?》の絶唱と、その後の引き絞るようなギターの絶叫に、問答無用で涙腺が決壊します。イースタンの場合はいつもそう…アルバムの基調を成す「一曲目名曲列伝」に連なって、ひときわ反骨の意気に満ちた「ソンゲントジユウ」から幕を開ける本作。

《押し付けられる伝統と文化》(「同調回路」)、《乾いた笑い声と 白けたお伽噺》(「おとぎの国」)…善きものと信じる姿を圧殺してくる同調圧力、それを押し付けて恥じない連中が居直る共同幻想…そうしたものすべてに中指を立てて疾走する、現代日本にクリティカルな、これぞエモーショナル・パンク。その怒りの矛先を共有できる今であればなおさら、俺のココロの深奥を一番強く揺さぶってくれるのは、吉野寿の唄心と、それを昇華するバンドの爆発力であって、この熱こそが俺がロックに求めているものなのです。

歩こうぜ いつでも おれたちは
ありのまま そのまま おれたちさ
おれたちさ
(「おれたち」)

個としての自尊と抵抗を謳い上げるアルバムの最後に、「おれたち」としての連帯が謳われているのも感動的。それが立つ思想はともかく、「連帯を求めて孤立を恐れず」ってのは最高の闘争言語だなあと、この闘争のアルバムを聴きながら想起せずにはおれない。「おとぎの国」と「おれたち」、唄心に満ちてスケールの大きいラスト二曲は、冒頭と並んでこのアルバムの白眉。

全ての奴等との 戦いの日々だ今日も
顔面に微笑みの 迷彩を施して
眼鏡の内側には 常に抵抗の意思を絶やさない
(「同調回路」)

不断の闘争に牙を研ぎ続ける、げに美しきパンク・ロッカーの矜持。
俺も眼鏡拭いて、選挙行って来ます。

SONGentoJIYU

SONGentoJIYU