『鍵泥棒のメソッド』

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記憶を失った「凄腕の殺し屋」と、偶然彼に成り代わる自殺志願の三文役者、婚活中の女性編集者、三人の男女の運命が交錯するクライム・コメディ。
内田けんじ作品にはいい評判しか聞きませんでしたが、なるほど素敵に楽しい作品でした。期待していたサプライジングな仕掛けにはそれほどインパクトがありませんでしたが、むしろ山崎の人物像とそれを十全に体現した香川照之の芝居、そして記憶を失っても人生に対する真摯さ誠実さを失うことがないその姿からごくごく自然に導かれ、微笑ましくユーモラスに描かれる香苗とのラヴロマンスに惹き込まれました。山崎の人物像に筋が通ってるからこそ、サプライズがそれほど機能しなかったというジレンマに見えるほど。
最近は険しい顔ばかり見る堺雅人もコメディ俳優としての親和性を発揮していたし、荒川良々も凄味と滑稽さが兼備されていてよかったです。
演技演出に脚本の妙も重なって、エンタテインメントとして高性能の作品、プライムで観れる分は追いかけようと思います。

鍵泥棒のメソッド