Syrup16g 『darc』

9thフル。
フルアルバムとは言いながら、コンパクトな8曲入り。アルバムタイトルがそのままの謂なら、リハビリ的な小品、という感じなのでしょうか。
位置づけに迷う作品ではありますが、いつも通りの鋭くささくれた言葉と、美しく翳ったメロディ、シンプルさが彩りに転化するバンドアンサンブルという、高性能な鬱ロックが聴けます。求められるところのものは手堅くまとめてくる職人芸。
メメントモらず/受け入れる スケベな内に》(「Cassis soda & Honeymoon」)、《痛みが終われば/悲しくなれる》(「I'll be there」)、《許されない手段で/救われようとした》(「Find the answer」)、《ただの大丈夫な人でいいじゃない/そうでしょう》(「Missing」)、《臥薪嘗胆し過ぎて 味覚障害》(「Rookie Yankee」)etc...、枚挙に暇のないパンチラインはいずれもさすがの精度で、人生の苦渋を美しいロックに昇華させたら第一人者のソングライタ、五十嵐隆への信頼感は強く再認識されました。
個人的に一番のアンセムは静と動のコントラストと、詞曲とギターに通底するセンチメントが泣かせてくれる「I'll be there」。

生き急いでるような景色を
選んでみせたかったけど
君が側にいないのを
誤魔化して来ただけなんだよ

(「I'll be there」)

なんか活動再開以降、色恋沙汰の鬱屈が更なる影を落とすようになった気がするんだけど、何かあったんだろうかw

darc

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