パスピエ 『娑婆ラバ』

3rdフル。
劈頭「手加減の無い未来」から一気呵成、息つく間もない高性能なポップ・チューンの連打。
キラキラと絢爛で、直線的な印象のアルバムです。ライヴでは踊り狂えるだろうなあと。変則的な曲は「蜘蛛の糸*1と、あとはリード・チューンのイメージでいた「つくり囃し」が結果的には一番の変化球になっているかな。「とおりゃんせ」の異形進化したような変態プログレ・ポップはMVのエロさも特筆されるべき。
もっと才気走った、クセの強い作品を期待していた向きには若干の肩すかしなのかもしれないですが、俺は前作でも「とおりゃんせ」「七色の少年」あたりの突き抜けた疾走感昂揚感を偏愛していたので、この路線は好ましいです。ポップを武器に正面突破の覚悟が感じられる快作、「アンサー」「トキノワ」あたりのアッパー感も一流だけど、その本質を伝えるアンセムとしてはやはり「贅沢ないいわけ」にとどめを刺すかと。眩しすぎる極上のポップネス。
基本的に詞作はいままでの雰囲気重視を踏襲してる*2けど、ラスト「素顔」においてちょっと自意識覗かせるあたり、まったく侮れない策士であると思います。美人局注意。

*1:メロディラインもぶっきらぼうな歌唱も、GO!GO!7188が懐かしく思い出される。

*2:しかし「贅沢ないいわけ」は詞も今までで一番いいわ。曲との絡みももちろんあるけど、なぜか《今しかないよ》のとこがツボ。キャラ的に「今しかないの」か「今しかないわ」にしそうなとこに《よ》を持ってきてるあたりがなぜか泣ける。俺だけか?