呂布カルマ 『STRONG』

3rdフル。
MCバトルの動画とか観て、曲の動画に広げていっても、なかなか音源買おうとまでは思わないことが多いけど、さすがにこのMCは別でした。
ということで個人的に一番手に入りやすかった3rdから。他の作品はどうか知らんけど、この作品についてはジャケにも意識的に、外見から作り込んでいってるパブリック・イメージに忠実な作品と見えます。ビートの効いた、ダークで不穏ながらも昂揚感のあるトラックにのせた、露悪とシモネタの連打。sex,drug,hiphopの世界観は全く目新しいものではないけど、そういう中にブチ込んでくるパンチラインは、充分に計算された角度でヒットしてきます。完全な確信犯としての精度で。

何が足らんか解らないならカルマのRap聴きゃ明らか
まるでダライラマ　それかサイババ　存在感が違うデカいマラ
（「KILLING JOKE」）

なんて、バトルでは重きを置いていないライミングにおいて、押韻の快感と、聖→俗へと見事なグラデーションを描くリリックの意味内容において、一流のスキルを見せつけていて。
HipHopの文脈での評価軸はよく分からないところがあるけど、「下世話」のラストヴァース…《まるでMasturbationの後でも会いたくなる様な女とかそんな音楽》なんて最高のフレーズからの…とかもそうだけど、露悪の中になんかアツいものが見える瞬間があって、それは「Holy Shit」のベンジー（かつ林檎）ネタでの、俺みたいなサブカルさんへのくすぐりも含めて、ロックファンにも訴求力のある内容になっているということは言える。《これは紛れも無い実録　だが家族には真に受けんなって言っとく》（「Holy Shit」）とかもかわいいし。
skit以外は捨て曲のない充実した作品だけど、個人的には「KILLING JOKE」「恥知ラズ」とキラーチューンが二曲続く劈頭の破壊力と、トラックの哀感との絡みでメロディアスな「Holy Shit」、客演も含めて完成度の高い「Undead Man March」、ラストで出色の昂揚感を魅せるイリーガル・パーティーチューン「Jet City Playerz」あたりが特に好きだった。
文系ロックファンに新たな音楽の扉が開いたけど、そういう奴は割と多いだろうな。

STRONG