M.スレイド/夏来健次(訳)『髑髏島の惨劇』文春文庫

ネタバレ注意。
タイトルもそうだし綾辻レコメンドだし解説千街だしで、てっきりホラーに意匠を借りた孤島ミステリだと思っていたら、島行くのは700pの大部の半ばを過ぎてから、それまではカナダ「本土」で異常なシリアル・キラーを追いかけるサイコ・ミステリで、その「本筋」は島渡ってスプラッタ始まってからも一緒、最後まで並列的に語られます。
んでそのサイコ・ミステリ/ホラーの部分が、ミステリ的な仕掛け云々関係なくすごく面白かったんですよね。オカルトとか、実在のシリアル・キラー列伝とか、生物学とか民俗学*1とか、様々な蘊蓄ブチ込んで走らせて、妖しさと禍々しさ、キッチュさとスピード感のままにあっという間に読める。いかにもな翻訳調の文章も、カリカチュアとして一役かっていて。
確かにもっとサプライジングな仕掛けがあるものと期待していたら最後は普通にジェットコースタ・ホラーだったけど、一冊のエンタテインメント小説としては充分以上に愉しみました。
スプラッタに関しては、俺割と耐性ある方だと思うけど、フランクレンの死に方は無理。これはホント無理。ちょっと都市伝説フレーヴァとか、関係なく無理。
評価はB+。

髑髏島の惨劇 (文春文庫)

髑髏島の惨劇 (文春文庫)

*1:主に《コークスクリュー》の性器拡張(?)の話な。