島田荘司『幽体離脱殺人事件』光文社文庫

ネタバレ注意。

二見ヶ浦夫婦岩で発見された死体の謎に迫る、吉敷竹史シリーズの長編。

…いやいや、コレはあかんやろw 笑ってしまうぐらいに無理筋だった。すぐに死体を隠したい突発的殺人で、空巣装って手紙探すとか、二見までわざわざ死体持ってって、数々の偽装工作の果てに死体吊るすとか、コストのゲインも、必然性もゼロ近似。

まあでも、そんな細かい(…?)整合性を島荘ミステリに求めるのはお門違い。相変わらず読ませる力は卓抜で、吉敷が棺桶入る大冒険とか、オッサンが誕生日聞いてくるwhydunitとか、面白いところはあった。それらがまったく収斂しないまま放り出されてあるけどw

冒頭の吉敷と被害者との交流も、しみったれた『ロング・グッドバイ』みたいでよかったよ。一方で女性たちの関係の描写は、よくもまあこんなザマにできるなってぐらいに酷いw 浅いところで女をナメすぎだと思うわ…これももはやお馴染みの芸風だけど。

評価はC。