ネタバレ注意。
ボクシング専門誌に配属された新米編集者(実は文芸志望)の主人公の視点から描くボクシング小説。
自身ジム通いしてるだけあって、丹念にリアリティをもって描かれているとは思う。だけど正直、それだけの小説だなあという感じだった。ヌルいというかおとなしいというか、あれコイツもっとハネるんじゃねえの、とか、この人なんかウラあったんじゃねえの、という感じで、なんか物足りないというか、未消化。
ただ、多分そんな外野の勝手で下世話な期待とは真逆に、《おもいっきり楽しかった》という言葉に端的なところの、ボクシングというスポーツのシンプルさ、清々しさというものを表現したかったんだとは思う。作中何回か語られるこの言葉は、理屈じゃなくすっと入ってくる「いい言葉」になっていて、その意味では成功をみているのかな。
評価はC。
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/10/11
- メディア: 単行本
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