山田風太郎『魔界転生』角川文庫

ネタバレ特になし。
かの有名なるザ・伝奇時代小説。
さすがのケレンと面白さ、やはり一種の天才でしょう。魔剣士たちの群像*1を中心とした剣豪モノとしての迫力と、それに対峙する柳生十兵衛とその周辺の清々しさと人間味。それを描く過程には、いかにも山田風太郎らしい奇想とエログロもたっぷり。文章もあくまで平易でスピード感を保ちながら、時代小説としての色も残してあって。エンタテインメントとしてやはり傑出した小説と思います。
ただ転生衆それぞれとの決着とか、ラストもそうだけど、肝心なところがアッサリしてて物足りないところではある。なんやったら人数減らしてでも、もっと偏執的に書いてほしかったような。
評価はＢ。

魔界転生〈上〉 (角川文庫)

魔界転生〈下〉 (角川文庫)

*1:特に宝蔵院がいいね。バカだなー。