米澤穂信『犬はどこだ』東京創元社

ネタバレ注意。
先輩に借りました。『ボトルネック』も。いつもありがとうございます、次は『インシテミル』で☆
「犬探し」を志望しながら、「人捜し」を請け負い、巻き込まれていく25才の新米私立探偵。基本的にローテンションで、人をくったような擬似ハードボイルドの書きっぷりがまず楽しい。
失踪人探しと、古文書の由来の調査という無関係に見えた二つの事件の接続と、その陰に隠された「操り」がミステリとしてのメインプロット。『夏季限定〜』を読んだ後だと正直「またかよ」って印象があったし、達成としてもそっちのが高いと思うけど、ハードボイルドに操りテーマときたら、どうしても法月を思い出させる。『さよなら妖精』にしても近作『インシテミル』(読んでないけど)にしても、ジャンルへの批評意識を感じさせる部分が多いので、そうした意味でもやはり注目すべき本格作家だと思う。まあそんな批評意識云々を論じるのは面倒くさいし、読み物としてクオリティが高いのが第一の価値だと思うが。
タイトルが作品のそこかしこで味わい深い。結局ラストの主人公が「犬」ならぬ「イヌ」ってことでいいのかね。
評価はB。

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

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