藤田庄市『宗教事件の内側 精神を呪縛される人びと』岩波書店

ネタバレ特になし。

地域の「拝み屋」からオウムまで、カルト組織によるスピリチュアル・アビューズと、それらが連なった帰結、破綻としての宗教事件の内幕を描くノンフィクション。

様々な形態であった死体放置については、ライフスペースなんかの有名どころはもちろん市井の事件についても詳細に描かれている。オウムの列伝も読み応えがあるし、法の華三法行など拝金カルトの手口についても克明で、さすが継続して取材しているだけのことはある内容です。

しかし一番のインパクトはここに至ってなお、統一教会=世界平和統一家庭連合とかいう、近代日本に巣食い現在進行形で跋扈しているクソどものことやな。各地での訴訟が次々と潰されていくこの現象、この本の出版段階では濁されている感じもあるけど、今となって問題の核心の所在はあまりに明らかだし、十五年という時間と革命的な反逆行為を経てなお解決に至る気配もないやん。

マジでこの腐敗無思考国家、絶望するわ。

評価はB。