ネタバレ一応注意。
旅の途中に行き会った「城」の人々を通して、ゼンの出生の一端が明らかになる、シリーズ第三長編。
透明感と軽やかさ、戦闘シーンの疾走感、キャラクタの魅力という美点はそのまま、大きくフィーチャされる「侍」、剣士たちの価値観や思想表現などでしっかり読ませてくれる。ゼンの出自に関しては、単純な貴種流離譚では物足りないなーと思いつつ、見守りましょう。
異質に思われた剣豪小説というジャンル文芸も、森ワールドにすっかり取り込んで、質の高いエンタメにしてしまうからな…さすがですわ。
評価はB。