柳広司『象は忘れない』文春文庫

ネタバレ注意。

道成寺」や「黒塚」、能の演目を本歌取りして、福島第一原発事故に遭遇した人々の苦難を描く連作。

正直に言って、小説としてはあまりに寂寞としていて読むのがしんどいけど、そこに込められた問題意識と、より端的に言えばその怒りについては共有しているし、こうした物語が書かれなければならなかった、その価値については全肯定します。

中では「卒塔婆小町」が一番衝撃的だった…ちょっと評する言葉に困る。現代日本の病巣と、そこに巣食う腐りきった連中、マジになんとかならないもんでしょうかね?

記録のみ。

象は忘れない (文春文庫)

象は忘れない (文春文庫)

  • 作者:広司, 柳
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 文庫