J.M.スコット/清水ふみ(訳)『人魚とビスケット』創元推理文庫

ネタバレ注意。

第二次大戦中、インド洋を漂流することになった四人の男女の間に惹起されるサスペンスと、戦後のその帰結をめぐる長編。

新聞広告を発端とする導入部が面白すぎて、その後大半を占める海洋冒険小説部分がちょっと冗長に感じてしまったな…。個人的には「人魚」の人物造形が「見えない人」プロットに連結される、その鮮やかな説得力が読みどころで、それは的を外してないと思うけど、「見えない人」って結局チェスタトンのヴァリエーションだよね、という思いもあり…。

評価はC+。

人魚とビスケット (創元推理文庫)

人魚とビスケット (創元推理文庫)