古野まほろ『身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり』講談社文庫

ネタバレ注意。
東京五輪後、近未来の東京。東京メトロ湾岸線」に連続する殺人・死体遺棄事件に、ゴスロリ管理官が挑む警察本格ミステリ
キャリアをフルに生かした警察小説としてのディテール、某名作を占星術ならぬ陰陽五行でアレンジした本格ミステリとしての結構、近未来世界構築の強靭さとアクセントとなる人を食ったキャラクタ造形。さすがはまほろらしい剛腕の筆力を感じさせる。
…が、あくまで個人的な嗜好としては、あまりにも「クセがすごい」*1…テクニカル・タームあるいは隠語の頻出はいつにも増して読み難いし、「桜花新聞」云々、キャラのネーミング含め作者のスタンス*2に若干の懐疑が差したり、素直に愉しませてくれない部分、ハードルの高さを感じてしまいました。
評価はC+。

*1:天帝シリーズは青春小説風味で若干やわらいでいたんだな、アレでも。

*2:それを「人格」とまでは言わないが。