syrup16g 『delaidback』

未発表曲集。

停留所に
年老いた老人が 独りで
寝てるように 待っていた
ああ そのバスは今日も来ませんか
(「透明な日」)

大サビにこの歌詞って…最高かよw
バンドヒストリー上の位置づけはそれぞれだけど、なんでこの曲オクラにしたんやって名曲揃い。「光のような」「透明な日」「Star Slave」…って、順番にタイトルだけ列記しても鬱ロックの名曲の予感しかしないセンスはさすが。「開けられずじまいの心の窓から」「4月のシャイボーイ」を経てラストは「光なき窓」だぜ…最高かよ。
どの曲も、これまで散々書き尽くした五十嵐隆というソングライタの才気のスリルと、変わらない表現の核が筋を通した安心感とが兼備され、無二の昏くて美しいロックが響いています。特に《君の奇跡はとうに 使い果たされて/あと残っているのは 消化試合だけ》つっていきなりブン殴ってくる「Star Slave」は全文引用したいレベルの詩の完成度が素晴らしく、また「赤いカラス」もさすが噂通りの名曲でした。

蒸し返された徒労に
ひとは耐えられるのでしょうか
せめて誰かの虚構の海で
溺れたいのです
(「赤いカラス」)

尽きることのない人生の苦渋、そのミもフタもない美しさ。

delaidback

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