amazarashi 『地方都市のメメント・モリ』

5th(オフィシャルでは4th)フル。

バイパスで先輩が死んだ ここ十年毎年死んだ
(「ぼくら対せかい」)

どんな修羅の国だよ青森は、という感じですが、このアルバムに描かれる《サバービアのメメントモリ》は、東北の地方都市の出身者として、一抹の寂寥と共に、それ以上の諒解と心強さ、どこかしらの安心感を感じさせるものです。…てめーそろそろ人生の半分名古屋じゃねえか、って言われたら返す言葉とてないわけですが、名古屋だっていい加減サバービアだよ。
これまでの名曲に比肩し得る楽曲は個人的には「命にふさわしい」ぐらいだけど、それ以外の曲もそれぞれに存在感のある佳曲で、いい意味でスルメ感のある作品、大風呂敷広げまくってきたオリジナル・アルバムの中では異色で、コンセプトは十全に体現されたと言えるでしょう。
「空洞空洞」の流麗を極めたソングライティングと、「ハルキオンザロード」の詩情が特にお気に入りだったけど、「ぼくら対せかい」がやはり作品の主題を表わして出色だったかなあと。「せかい」って言葉がうまくシンボライズされて、もはや死語となりつつある「セカイ系」などとは一線画する素晴らしい詩作、歌詞カード付記の詩も泣けるよ。
一方で「フィロソフィー」のタイトル連呼のとことか、「空に歌えば」は楽曲ごと浮いてるし、タイアップ曲が足引っ張ってるように感じるのはネガティヴな先入観のためかも知れず…あとB盤はスリーヴ付いてないのがすごく気に入らないんだけど…まあ、それはまた別のお話。

地方都市のメメント・モリ(初回生産限定盤B)(DVD付)

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