『スワロウテイル』

DVD。
家の中で「マイウェイ」流れてるの聴いたら久々に観たくなって。
人生のベスト映画に挙げてた時期もあって、特に高校生の時はダビングしたVHS擦り切れるぐらい観てて、なので何回目かも数えきれない再鑑賞です。インターバルは多分10年くらい?
で、最近はあまり声高にベストベスト言わなくなってたけど、その評価には今観ても違和感ないなあと思うぐらいに、いい作品、というか好みの作品でした。バブル期の日本をバックグラウンドに、円盗の住まうスラムや九龍城モデルの阿片街など猥雑なオリエンタリズムを主軸に据えて、一種サイバーパンクに通じる独特の世界…「円都」を構築した創造性。その中で生きるエスニシティの多様性と、キャラクタたちの魅力の活写。そりゃサブカルかぶれの中学生は虜になるし、映画における原風景として人生引きずることになりますよ。
以前はどっちかっつーとテンション上げて、リョウ・リャンキ! マオフウ! ラン! かっけー!つって観てたような記憶があるけど、今回はなんかなんでもないシーンの美しさにふと涙腺が緩む感じで観てた。画も音楽も綺麗だけど、それ以上に漠然と、映画全体とその細部とが懐かしくて愛おしかった。ベストシーンは阿片街総合病院でリョウ・リャンキがポスタのグリコの鼻つまむとこね。あんなもん泣くやろ絶対。阿片街は今観るともっとやりようあったんじゃねえかとも思ったけど、病院のシーンはいずれも最高だよ。
キャストは全員素敵だけど、江口洋介渡部篤郎はキャリアハイを断言。以前は「クビキレ」がベストシーンだったな。あとは伊藤歩のハマりかたがやはり素晴らしすぎるね…こっちの場合はこれがキャリアハイってのは若干淋しい話だけど。
また10年後、イェンタウンに帰ってこよう。その時もまだ、ベスト映画だって言ってるよ多分。

スワロウテイル [DVD]

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