『ビューティフル・マインド』

DVD。
実在の天才数学者、ジョン・ナッシュの人生を描くヒューマン・ドラマ。アカデミー作品賞。
とりあえず文句のつけようのない感動大作であることは認めます。ストーリィのそれぞれのフェーズで、それぞれに感情を揺さぶる脚本と演出が冴えています。特に終盤はずっと目を潤ませながら観られました。
ただ僕は気に入った俳優がいると作品の途中でフィルモグラフィ調べ始めたりするので、今回もジェニファー・コネリーが魅力的だったので片手間で調べてたら、結果この作品中盤のどんでん返しに関する完全なネタバレを食らい。それで若干疑心暗鬼になって、ラスト近くのナッシュの前にペンが置かれる感動のシーンも、実はアレなんじゃないかと疑ってみたり、ちょっと十全にはこの作品を味わいきれなかったような感じもして…反省して以降は鑑賞中にケータイいじるのやめます。
しかしまあ、名シーンに枚挙の暇ない「キメ」の冴えた作品でありました。ベッド際でのアリシアのナッシュに対する語り掛けはジェニファー・コネリー一世一代の名場面、あらゆる意味で美しいシーンです。しかし個人的なベストシーンはそこでもラストの檀上でもなく、図書館で嬉しそうに「講義」するナッシュと、それに聞き入る三人の学生の姿に尽きました。純粋で孤高の魂が、その純粋さのままに受け入れられ、また受け継がれようとする情景は、「ビューティフル・マインド」というシンプルに抽象的なタイトルが含意する、何かとても崇高なものの体現であるように思いました。それは別に数学という先鋭的に純粋なものでなくても、あらゆる学問において継承されてきたものなんだろうけど…などと、完全にふわっと学生生活送った自覚の下で言うのにかなりの羞恥。
キャストについては、今まで完全に嫌いだったラッセル・クロウを見直したのと、さっきから言いっ放しのジェニファー・コネリー。観終わった後さらに調べてたら『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の幼少期デボラじゃないすか。完全に片鱗見えてたわアレ。この作品以降名前聞かないけど、この一作でも悔いないくらいのハマリぶり、瑕疵はラストのおばあちゃんメイクがやりすぎだってぐらい…って、急に下世話になるのも羞恥心の故ってことで。

ビューティフル・マインド [DVD]

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