『(500)日のサマー』

シンクロニシティ
インセプション』を観て、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが気になっていたら、後輩が(例によって頼んでもいないのに)DVD貸してくれました。
ブコメです。「友達以上恋人未満」の関係に、「愛してる」の保証を得たい主人公・トムと、そうした束縛を嫌うサマーの葛藤を中心に、二人が過ごす500日とその後の1日を、時系列を行き来しながら描く構成。
アメリカ産のラブコメとして、よくあるミュージカル・シーンなんかも織り込まれているのですが、脚本・演出共にあまり浮ついた雰囲気ではなく、基本的にはスマートで洗練された、質の高い作品だと思います。
脚本に関してはやはり時系列処理が巧みで、400日以降のじんわりとした哀しみが胸に迫ったし、最終的に二人の恋愛観・人生観・運命観が逆転するところなんかも、この映画の主題をうまく表していたように思います。演出はコメディライクに楽しい部分も多いし、基本的に画が綺麗で好印象でしたが、一番は音楽がよかった。ザ・スミスが物語のキーファクタになっているように、ロック・ミュージックが自然に映画に、しかもラブコメに取り入れられているのは貴重だと思います。そういう演出はミュージック・ビデオ出身監督の面目躍如でしょうか。トムが黒板にスケッチ描くシーンとか、エンド・テーマも最高によかったです。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットは『インセプション』とはまったく異なる、情けないラブコメ主人公を瑞々しく好演。ズーイー・デシャネルは正直惹かれませんでしたが、好きな人は好きだろうな、という感じ。それよりレイチェル*1役の子役がいい味だったけど…でもあれはキャラの力だわな。

*1:未公開シーン見てると妹っぽいんだけど、謎。