『愛のむきだし』

DVD。
某永作映画以来の園子温。変態と妄執の渦巻く愛憎地獄絵巻。
DVD上下で約四時間。こんだけ濃い物語と芝居を見せつけられて、なかなかにヘヴィーな体験ではありましたが、序盤のB級ラブコメ展開には普通に笑ってられたし、後半になってはキャストそれぞれの芝居の凄味に見入ってと、作品のステージごとに見所があって。「怪作」の名にはいかにも相応しい佇まいですが、昔様々に観たB級邦画*1とは異なり、手応えの充実したエクストリームでした。神学的要素とかあって、だいぶキッチュにした感じだけどちょっと花村萬月みたい
西島隆弘もなかなかよかったと思うけど、やはり女優二人の芝居が最大の見所と思います。満島ひかりのブレイクスルーはもはや邦画史上の伝説でしょうが、ラブコメ演技の愛らしさ、それと相反する砂浜での長回しの迫力と病室でユウを諭すシーンの凄味。今さら言うのは五年以上遅いという苦渋と共に、賞賛を惜しみません。でもAKINAよりHIKARIだったよ、高校ん時俺。
…さて、なので安藤サクラを称揚するのも負け惜しみではないのです。最初っから最期まで、異様な存在感で画面と物語を支配し続ける稀有なキャラクタと役者です。メインキャストの女優二人が同い年とは俄かに信じ難い。この人出てるのもっと観たいと思うけど、どれも絶対アク強いだろうなーとちょっと陰鬱になる。
あとはな、なんつっても主題歌の存在感だろな。カラオケで歌いたい気持ちが分かる。持ち歌にパクったろ。

愛のむきだし [DVD]

愛のむきだし [DVD]

*1:『発狂する唇』とかね…。