ネタバレ一応注意。
残り二冊の段階で手に取ることとなりましたが、実は結構初期作品とおぼしい。
修道院で育った孤児・イグナシオの、性と暴力を描いたノワール…って設定から明らかに「王国記」シリーズの原型であろう単独長編。
連作である「王国記」よりは明らかに密度が濃いです。神学・倫理学や差別というテーマ、セクシャル・ヴァイオレントな描写、共に濃密で、露わ。
なんか肩に力入ったような感じで、ちょっと「らしくない」と思った。俺は「王国記」の、爽やかさや大らかさを愛するなあ…と思いつつ、一方で作品世界には独特の気品と言うか魅力的な香気は確かに感じられて、さすがだとも思いました。
評価はB−。
- 作者: 花村萬月
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/02
- メディア: 文庫
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