G.ガルシア=マルケス/鼓直(訳)『百年の孤独』新潮社

ネタバレ注意。
家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第九回課題本。
真打登場。この企画を始めた時に「世界文学ベスト100」みたいなサイトを見ていて(現在閲覧不可)、そこでも見事一位となっておりました、まさに説明不要、世界文学史上に屹立する作品でございます。
予告された殺人の記録』はかつて読んでいますが、今回はそれ以上に、読者としてのスキルが追い付かない感じがありました。別に難しいこと書いてあるわけじゃないし、愉しく読めはするんだけど、俺は本当にこの小説の凄さを味わえているんだろうかと、常に懐疑と共にある読書となりました。
南米の村、「マコンド」と、その盟主である一族の盛衰を、無数の挿話とイメージで紡ぐ巨編、文字通りの「サーガ」。
これといってショッキングなエピソード、エキセントリックなキャラクタがいるわけではないが、そのひとつひとつ、ひとりひとりは極めて濃密に描写され、作品自体が結果なにか猥雑とさえ感じられるエネルギーに満ちている。とても「力のある」小説だと、極めて陳腐なことを思った。
細かい描写の緻密な堆積の一方、ふとファンタジックな位相に物語がずれこんでいく瞬間があって、そういう場面では繊細だったり、ドリーミィだったりするイメージが披瀝されて、そういうのが凄く綺麗で好きだった。これがマジック・リアリズムというやつか。

(前略)霧につつまれた小道や忘却の約束された時間、失望の迷路を彼はさまよった。心に思うことが谺でくり返され、願いが予兆の蜃気楼を呼ぶ黄ひといろの荒野を横切った。思わしい結果もえられぬまま数週間がすぎたころ、彼はすべての鐘が死者のために打ち鳴らされている見知らぬ町に着いた。見たこともなければ話を聞いたこともなかったが、骨の塩分でおかされた塀や、ぼろぼろになった材木に茸が生えている傷んだバルコニーや、〈葬儀用ノシュロ有リマス〉という、雨で消えかかったみすぼらしい貼り紙がすぐに目についた。
(248p)

なんてあたり、なかなか美しいネクロポリスよね。
しかしこんだけ込み入ってると、家系図付けてもらったところで誰が誰だか分からないし、途中からちゃんと人間関係理解して読むのを放棄してしまったけれど、読者の九割は同じことを思うだろうな…。
もっと経験を積んで、再挑戦ダ☆
評価はB。

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)