2020-03-19 古川日出男『あるいは修羅の十億年』集英社文庫 reading ネタバレ一応注意。二つの原発が地震と津波で爆発して後の近未来を描く長編。作者の問題意識とその切実さには共振するけど、この作品のディテールの執拗さは、物語をドライヴさせているように思われなかった。やっぱ『13』や『ベルカ』みたいな、震えるような描写・センテンスがほしいの…この作では最後の方に雰囲気があるぐらいだったかな。物語として、緊張と解放のルートが接続されていない印象…もう古川の文学は、そんな手順を踏む段階にはないということなのか。評価はC。あるいは修羅の十億年 (集英社文庫)作者:古川 日出男発売日: 2019/11/20メディア: 文庫