古川日出男『あるいは修羅の十億年』集英社文庫

ネタバレ一応注意。

二つの原発地震津波で爆発して後の近未来を描く長編。

作者の問題意識とその切実さには共振するけど、この作品のディテールの執拗さは、物語をドライヴさせているように思われなかった。やっぱ『13』や『ベルカ』みたいな、震えるような描写・センテンスがほしいの…この作では最後の方に雰囲気があるぐらいだったかな。

物語として、緊張と解放のルートが接続されていない印象…もう古川の文学は、そんな手順を踏む段階にはないということなのか。

評価はC。

あるいは修羅の十億年 (集英社文庫)

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