『bedside yoshino #1』

eastern youthのヴォイス/ギター、吉野寿宅録ソロ。
いかにも宅録っぽいローファイな音なので、吉野的な世界観のネガティブな側面、苛立ちであったり、寂寥であったり、そうした叙情がよりダイレクトに伝わってくるように感じました。バンド・サウンドのダイナミズムやカタルシスはないけれど、リリシストとしての吉野寿を堪能できるソロ・ワークスです。「november4pm」のような叙情的なインストも、最近のイースタンでは聴けないので(昔は「冬の残像」とかあったけど)、なかなかに貴重だと思いました。

二人でいたれどまだ寂し
一人になったらなお寂し
真実二人は遣る瀬なし
真実一人は堪え難し
(「他ト我」、歌詞聞き取り)

なんて呟くような寂寥の「他ト我」という曲がラストの一曲前に入っていて、これで〆だったら本当にそういう一枚になってしまうところですが、でもそれを経てのラスト「念力通信」は最もポジティブで軽快な曲で、その対比がアルバムを通して鮮烈な印象を残してくれます。

もし涙が溢れたら 空の彼方に俺を呼べ
そんな時 泣きながら俺が君を呼ぶように
(「念力通信」、歌詞聞き取り)

イースタンの轟音で聴きたい曲でもありますが、でもやっぱり最高にかっこいいなあ、ずっとついてくよ、そう思えるアンセムです。

bedside yoshino#1 (ベッドサイドヨシノ#1)

bedside yoshino#1 (ベッドサイドヨシノ#1)