吉村達也『ピタゴラスの時刻表』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
家庭教師・軽井沢純子のシリーズ、とやら。
表題に掲げられた「ピタゴラスの時刻表」をはじめとして、物理トリックあり、やたら込み入った(でも作中作、しかも捨て)アリバイトリックあり、とネタは盛りだくさん。稚気においては評価できる作品と思いました。特に作中表明される「時刻表トリック」に対するスタンスには頷けるところがあるし、その実例としてあてがわれた捨てトリックも実にパラノイアックに込み入っていて、説得力があります。
でもその見せ方はあまりにも洗練されていないし(自白かよ!)、小説としてはどうしようもなくチープであるので、それなりの評価になってしまうのは残念なところ。
評価はC。