eastern youth "極東最前線/巡業 〜どこでもいい。ここじゃないどこかへ。〜"

2013.5.31@名古屋クラブクアトロ
前回のレコ初ワンマンに行けなかったので、何気に一年以上ぶりのイースタン
訃報はいつも突然だけど、古馴染みの盟友のそれに際してバンドがどんな思いでこのライヴに臨むのか、開演前から確かにいつもとは違う緊張感が共有されていたように思います。
そんな風な勘繰りを入れるのは、ライヴへの、音楽への接し方として間違っているのかもしれないけど、吉野さんの黒一色のTシャツにも、特に序盤、いつもよりディストーション成分・ノイズ成分高めに感じられたギターと絶唱にも、オリジナル・コードのディストーション・ギターの疾走感そのままに逝ってしまったロッカーへの哀惜を感じてしまって。「天才」と語り、また自らを「モノマネ芸人」とまで揶揄するほどに影響を公言する盟友への想いが、この日のクアトロの地獄のような爆音に結実していたように思いました。いくつもの哀しい別れを引き摺って、ただ転がるように生きていくしかないというメッセージは、MCでも語られていたけれど、この日のセットリストにはそれが彩りをもって完璧に表現されていたと思うし、特にアンコール三曲の喚起力はやはり半端じゃなかった。
いつも訃報に接するとnoteのカテゴリでなにか書くんだけど、今回はニュースを聞いた翌日にこのライヴが控えていて。なので少し、このエントリに書く。
初めてブッチャーズを知ったのは極東コンピの「さよなら文鳥」だった。音源も、『荒野ニオケルbloodthirsty butchers』と『birdy』中心によく聴いた。『kocorono』の良さが分かったのはだいぶ最近だったな…。ライヴも何回か観て、まず間違いなく知る中で最も歌の下手なヴォーカリストで、吉野さんの言う「リアルジャイアン」の呼称はそれも含めてぴったりだと思うけど、しかし彼には破壊的でいて繊細な叙情を湛えるギターがあって。初めて観た時に、「こんなにギターを「凶器」と感じたことはない」みたいなことblogに書いてるけど、やはり今も、あれを越える衝撃のギターには出会っていない。
この日のMCでも語られた、10代の吉野青年にブン殴るような衝撃を与えたギター。そのギターが木霊しているような、この日のクアトロの轟音。音楽を、芸術を、サブカルチャーを受容し、また表現していくということは、差別感情の入る余地のない正の連鎖なのだと、俺は語られた言葉以上のものとして、耳鳴りとともに受け取りました。
このライヴを観た後では、どんなR.I.P.も安く感じるので、ただブッチャーズは、これからも大事に聴きます、とだけ。

僕はどんどんと年をとっていく訳で
作るものはどんどんと色褪せる
君がその先大人になっても
悪い大人の手本でいたいんだ
bloodthirsty butchers 「JACK NICOLSON」)

そしてイースタンにはこの先もずっと、悪い大人の手本でいてもらいたいと思うものです。
ニノさんのMC、相変わらずクソみたいで最高でした。
セットリスト:1.片道切符の歌 2.空に三日月 帰り道 3.踵鳴る 4.男子畢生危機一髪 5.鉛の塊 6.黒い太陽 7.浮き雲 8.尻を端折ってひと踊り 9.雑踏 10.ドッコイ生キテル街ノ中 11.寄る辺ない旅 12.素晴らしい世界 en.1 1.矯正視力〇・六 2.グッドバイ en.2 夜明けの歌