江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島』光文社文庫

ネタバレ注意。
冒険ジュブナイル…少年向け『ロビンソン・クルーソー』あるいは『二年間の休暇』…である表題作、同じく少年向けの科学啓蒙よみもの「智恵の一太郎」、そして多分に戦時プロパガンダ要素の強い長編「偉大なる夢」の三作。
時系列編集のこの全集も戦中の時期に入り、いずれも戦時統制化の抑圧の感じられる作品。ジュブナイルは清く正しく明朗闊達な少年の範を示して気持ちが悪いけど、「偉大なる夢」は乱歩の長編作品の中では比較的まとまりと意外性の認められる作品と思われて…皮肉と言うべきか。枷とか枠とかハメた方がいいものできるって、分かる気もするけれど。
でもこの作品の結末、戦時プロパガンダとして成立してるかっつーと甚だ疑問だな。せめてもの反骨心か。
評価はC+。

江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島 (光文社文庫)