植垣康博『改訂増補版 兵士たちの連合赤軍』彩流社

ネタバレ特になし。

連合赤軍兵士、「バロン」植垣による回想録。

二段組でびっしり、筆者視点での運動と事件の趨勢が詳述されていて、非常に読み応えのある内容。連赤に至るのも半分を過ぎてから、そこに至るまでの弘前全共闘や、あるいはそれ以前の藤枝東高時代などの回想も詳細で、当時の学生が活動家となっていく事例を示すものとして史料的価値があると思う。

内心の葛藤や逡巡のようなものは省かれていて…たまに述べられたとしても、総括対象となった痴漢行為をして、《つい二人に手を出してしまった。》(238p)なんてやたらあっけらかんとしていて…、筆者個人的・社会的なインパクトに比して淡々と語られる事件の様相は独特の読み心地。そんな中でも森恒夫に対する批判的スタンスは強く打ち出されていて、自派に対する自罰感情を差し引いても、まあそうだよね、と納得感がある。

記録のみ。