ネタバレ一応注意。
左派の本ばっかり読んでないでバランス取らないとな、と思って読むわけですよ。赤尾敏と並んで単純に興味はあったんだけど。
したら筆者の、礼賛を通り越して崇拝と言っていいリスペクトがダダ漏れで、こうまで偏ってると読んでる方は冷静になれるし、つかむしろ微笑ましいしで、左右のバランスという意味ではこれ一冊で充分だったかも。同郷の筆者、連合赤軍ネタの時とテンション違いすぎませんかね。
蛮勇という単語が褒め言葉になるドラマティックな人生、左右の思想や立場を超えた幅広い交友関係に、人間的魅力とそれを支える胆力を見ることはできる。しかしその思想の端緒が軍国少年としての原体験にあって、特攻隊への思慕がその謎めいた最期にも揺らめいて、そしてそれがこのように美化されて描かれると、個人的にはそれはなんとも索漠とした風景だったのだが。
タイトルの響きも、それを照射しているように感じるなあ。
評価はC+。
- 作者: 山平重樹
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/10/10
- メディア: 文庫
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