平野啓一郎『空白を満たしなさい』講談社文庫

ネタバレ注意。

死者が「復生」する世界と、復生した主人公・土屋徹生の混乱の生を描く長編。

端整な文章で、ミステリタッチで描かれる序盤や、社会の混乱が描かれるSF的展開は愉しんで読んだが、死生観や家族観、人生観が主題としてあからさまで、物語から少し浮き上がっているような印象があった。

特に作者が新書で使ってるようなタームが出てきたりすると、それを発展的に小説化したものだと理解はしても、ちょっと興醒めてしまうところが否めなかった。いや、質の高い小説だとは思いますけどね…。

評価はB-。