平野啓一郎『マチネの終わりに』文春文庫

ネタバレ注意。

ギタリストとジャーナリストの男女の恋を描く長編恋愛小説。

作者のTwitterフォローしてるとすっかり読んだ気になってたけど、初読です。上質な文章とクレバーな批評性があって、さすがウェルメイドでした。

でもだからこそ、三谷とかいう絵に描いたような馬に蹴られて死んだ方がいい人間を中心に繰り広げられる「すれ違い」の情景は、こんなベタベタなソープオペラ展開でいいのかドキドキしつつ、そのいたたまれなさに「やめてくれー」つって身悶えしながら読むことになりました。精神的なダメージ、ここ最近の記憶では一番だったね。

しかしそれを乗り越えての「マチネ」と、その後のラストシーンで感涙させてもらえて救われました。蒔野の軽口がいちいちちゃんと笑えるところまで含め、さすがの手腕でございます。

評価はB。

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに (文春文庫)