ネタバレ注意。
函館市を舞台に、連続三姉妹殺人を描く長編。
富豪の家のドロドロした内情と、都市郊外の人間関係が濃密に、また警察の捜査過程が丹念に描かれて、充実の内容。
それだけならよくある真面目な警察本格ミステリだが、やがて明らかになる事件の構図はなんともグロテスクで、それを語る犯人の口跡にも凄みがあって読まされた。犯人の動機語りという点では、日本ミステリ史に残るものだと思う。
後は有栖川解説に触れられてる『獄門島』本歌取りの部分、読んでるくせにいまいち素養に欠けて玩味できなかったので、そこがハマってたらもっと評価上がってたな…とはがゆいところ。
評価はB。