夢野久作『空を飛ぶパラソル』角川文庫

ネタバレ注意。

ホラー/ミステリ作品集。

表題作冒頭の情景描写の鮮烈さに、いきなり息を呑みました。田園地帯の遠景に、一点異物としてのパラソルを掲げた女、田園風景を切り裂く列車と、突如闖入する惨たらしい轢死体。一連の流れ、全文引用したいレベルで見事な対比を描いていて、やはりタダモノじゃねーな久作、と思います。

表題作では後半、老婆の棲むあばら家の描写にも怖気をふるいました…ヤバすぎ。他のショートショートや短編も見所たっぷりで、必ずしも代表作とは言えない選集であるが満足度は非常に高い。

僕のドグラマグラ、借りパクしてくれてるのどなたですかね…?

評価はB-。