横山秀夫『震度0』朝日文庫

ネタバレ一応注意。

阪神大震災を背景に、同日同時刻に600km離れたN県警に走る「激震」と、それに対応する幹部たちのパワーゲームを描く長編。

さすがの力編です。県警幹部たちの虚々実々が、キャリア/ノンキャリア、中央/地方という対立軸と、それぞれのオン/オフを含めて複雑に絡み合っているが、しかしそれは時系列と視点を巧みに切り替えながら、重厚でありつつ胃もたれしない、優れたエンタテインメントとして描かれている。息つく間もないリーダビリティで、警察小説というエンタメの一つのモデルであろうと思います。

しかしさ、狷介な職場ってのは人を壊すよな…何をそんな必死にやらなかんのか。

評価はB。

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)