『インターステラー』

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滅亡の危機に瀕した人類を救うための、主人公父娘の苦闘を描く長編SF。

あまり得意ではないスペースSFで、三時間弱の長尺だったけど、まったく退屈しなかった。濃密な科学的考証とSFガジェットは物語のドライヴ感と不可分で、難解どころか物語を推進している。中盤のウラシマ効果のジレンマならともかく、終盤の多次元世界は正に次元が違う世界でさすがノーベル物理学賞受賞者の製作総指揮になるものだと思ったけど、そこに今度は家族のドラマがガッツリ絡んできて、アツいドラマとして無理矢理に涙と共に呑み下されてしまった。『インセプション』とかもそうだったけど、SFとしての思想性、難渋さを映像と物語の説得力で解きほぐして提示してくれることで、クリストファー・ノーランという作家の手腕は卓越しているなあと。

ハードなSF大作でありながら、見事にエンタテインメントした傑作です。いきなりエアロスミスが鳴り響いたりしない、荘重で時に神秘的な音楽もいい感じでした。