呂布カルマ 『SUPERSALT』

5thフル。
オープナは「さようなら」、いかにもp1らしいインダストリアル・ヘヴィなトラックに、冷たく陰鬱な、しかし一抹の愛嬌の覗くリリック。アルバムタイトルは「超絶塩対応」の謂ですが、確かにキャッチィな媚態の一切ない、しかし彼に期待するところの冷たい吸引力は十全に備えた、個人的には神対応でした。
以降もトラックメイカに客演のラッパーにとタレントを揃えた充実の佳曲揃い、その中で呂布氏の言葉の強度、ラップの表現力も際立っています。世界観の多彩さやケレンでは『The Cool Core』に譲るところもありますが、その分ソリッドで強靭な、非常にかっこいいアルバムです。一部客演が入るとフック部分がスリルに欠けるように感じる傾向がありましたが…一人の方が世界観に浸れるけど、そのあたりは嗜好の範囲内かな。
リリックすべてがパンチラインな「ヤングたかじん」はキラーチューンだけど、やはりラストを飾る二曲、「YABO」「CALM DOWN」の流れは特筆されるべき。溢れ流れてしまいそうなほどのリリシズム、露悪がありつつ穏やかな抒情に、生活の実感と表現者としての人格が滲む。

落ち着いて話をしよう
踊りながら歌うのはもうやめなよ
思い出せない事の方が多い
教えてあげる事なんか特に無いけど
沢山忘れさせてあげよう
（「CALM DOWN」）

…呂布さんに泣かされるとは思わなかったわ。

SUPERSALT