呂布カルマ 『The Cool Core』

4thフル。

神様が僕にだけ秘密で教えてくれた呪文
世界中の人が幸せになる代わりに歌う事無くなるよ
神様が僕にだけ秘密で教えてくれた呪文
世界中の涙が笑顔になるがしかし芸術はくたばるよ
(「オーライオーライ」)

ドープな世界観の中に芸術観を披瀝して、オープナーの割に決してキャッチィでなく、しかし冷たく澄んだ吸引力のある「オーライオーライ」が一曲で暗示しているように、前二作と比べて世界観の広がりと吸引力において格段の深化を遂げた、クラシックと呼ぶに足る一枚だと思います。ワードセンスという強み、アグレッシヴな曲の迫力とかっこよさはそのまま、スロウな曲、フリーキィな曲、歌ってる曲にそれぞれ見所があって、トラックメイカ陣も客演陣もいい仕事を添えて*1、多彩で強靭なアルバムとして完成度は高いです。タイトルもまたこの作品の冷たく翳った芯の部分を表現して完璧かと…まあ相変わらずの下ネタと露悪も多いのだけどw

全員が着いて来れるとは思っちゃいないが
ここまで来て脱落とは勿体無いな
何せ我々の行き先は 先人無き道さ 粋がりな
死にたがりのお前殺してやるよ 生まれ変わった後何を目指すの?
Like a 瀬戸内寂聴 今さら失う物なんか無いっしょ 何で泣くの?
(「天竺」)

特には「天竺」はリリックすべてがパンチラインと言うべき完成度だし、「鉄風」に立ったエッジは個人的にナンバガ思い出してさらに鋭い…ネタ元はマンガの方かもしれないけど。この二曲はトラックも出色ですね。
鉄風」に続くのが《君のアドバイスは有り難く無視 俺は俺で俺のラップするし》の露伴的俺様キャラ、および要所要所での最悪の下ネタも頼もしいアンセムイカレテロ」で、そして「俺の勝手」「優しい森」でリリシストっぷり発揮して〆と、構成にも隙がない。

俺はウォシュレットマン 水に流す ケツは拭かん
常に客観視 故にダンディー 垂直に上昇する逆バンジー
(「俺の勝手」)

各楽曲の多彩なフックに惹きつけられて、捨て曲なしの15曲に聴き入ってしまう名盤です。この一枚に出会えただけでも、バトルの動画漁って消えた時間は無駄じゃなかったなとw
新作が楽しみです。

The Cool Core

The Cool Core

*1:「Freaks Eregy」のサビのとこだけは、自身言うところの「安い韻」感があってアレだったのだけど…。