青崎有吾『水族館の殺人』創元推理文庫

ネタバレ注意。
横浜の水族館で起こる殺人事件に挑む、裏染天馬シリーズ第二長編。
うん、分かるよ分かる。アリバイトリックの解明によって容疑者全員のアリバイが反転する鮮やかさ、モップをめぐるロジックの玩弄、時計というラストピースでのシンプルな犯人同定など、ロジック・ミステリとして質の高い達成であることは分かる。
だけど…水族館の面々の顔見せやその行動の描写など、ロジック・ミステリとしての根幹となる部分…当然に執拗で、それ故に斜め読みにはできない部分…をどうしても冗長に感じてしまう俺は、本格読みに向いてないのでは、というアイデンティティ不安を感じてしまったのも事実。
キャラクタ小説要素はどうでもいいしな…と思いつつ、二次元ネタのくすぐりは、それが理解の及ぶところであれば愉快だったのだけど。《僕は妹に乞いをする》(第三章-1タイトル、176p)が一番ツボった。
評価はC+。

水族館の殺人 (創元推理文庫)

水族館の殺人 (創元推理文庫)