はたよしこ(編著)『アウトサイダー・アートの世界 東と西のアール・ブリュット』紀伊国屋書店

ネタバレ特になし。
ローザンヌアール・ブリュット・コレクション」と滋賀「ボーダレス・アートミュージアム NO-MA」による企画展図録の一般書籍化。
それぞれのアーティストは数点の取り上げのみ*1だけど、それ見てるだけでもインパクトのある表現ばかりで、なかなかに惹き込まれる。アロイーズやヴィレム・ファン・ヘンク、レイノルド・メッツのようにひたすらに美しい表現も、西川智之や澤田真一の造形のように、何をどうしたらそうなるんだ、って異形もあって、人間の創造性の豊穣を見せつけられます。
編著者や都築響一らによる、ピックアップされたアーティストの取材テキストが巻末にあるんだけど、それらはかつて自分の興味対象の主眼であったところの、アーティストの人となり、アウトサイダーぶりも書かれているけれどそれよりも、それを理解(しようと)し、芸術として取り上げた発見者、ないし庇護者たちの眼差しにこそ心打たれるものがあった。そうした肯定を受けられずに、抑圧され霧散していった芸術も数多いだろうから…。
どうか全てのアウトサイダー・アーティストたちが、その表現衝動を自由に発揮できる環境と理解者を得られるよう、願わずにいられない。
評価はB。

こちらも差し入れでいただきました。ありがとうございました。

*1:もっと深くじっくり観たいと思って、名古屋市美術館のアドルフ・ヴェルフリの展覧会行ったら、まあかなりなお腹いっぱいになったw