15thフル。
燃やす命のひとつきり
回る世界にひとつきり
(「あちらこちらイノチガケ」)
名盤。前作に滾っていた闘争の意気は、より生活に密着して、その中での実感を噛み締める中に息づいています。2020年の混迷の中に、実存の尊厳を謳い上げる、最高にエモーショナルなパンク・ロック。主題と表現が完全に噛み合った芸術です。
今となっては 過ぎたことさ
嘘だろ 今も心の中には
あの日の風が吹いている
あの日のままに吹いているのさ
(「明日の墓場をなんで知ろ」)
メロディアスで、ギターの泣いた、つまり俺のイースタンのツボ曲が揃ったことにおいては、『感受性』に張るかもしれません。この暗黒時代の中で、吉野寿という音楽家が変わらぬ牙を研ぎ続けてくれていることが、何より頼もしく、嬉しく心を躍らせてくれます。
ゆけどもゆけども帰れない
すれ違う人なく影もなく
歩けど歩けど果てもない
携える地図なく歌もなく
(「それぞれの迷路」)
いや、少なくとも俺には、イースタンの歌と、それにまだ燃え立つ心があるよ。
腐った世界を生き抜いて、また会いましょう。

- アーティスト:eastern youth
- 発売日: 2020/08/19
- メディア: CD