椹木野衣『アウトサイダー・アート入門』幻冬舎新書

ネタバレ特になし。
アウトサイダー・アートアール・ブリュットの概説/作家・作品紹介の新書。
作品の解釈とかより、それぞれのアーティストが、(多くは異形の)作品制作に至った背景/ドラマ/精神性に関して多く頁が割かれ、それは自分の興味対象にもズバリだったので、愉しい読書でした。
精神性におけるアウトサイダーぶりが俎上に挙げられているので、ルイーズ・ブルジョアやジャン=ピエール・レイノーといった、現代美術において確固たる名声を得た人も含まれていて、彼らの創作の必然性…多くはトラウマ…にも興味はあれど、やはりフェルディナン・シュヴァルやヘンリー・ダーガーの、底知れなく純粋な情熱と、育んだ夢の無垢な異様さに一番惹かれます。理想宮は世界で一番行きたい場所。出口王仁三郎『邪宗門』経由で若干お腹いっぱいだったかな。
予備知識のある作家が多かったけど、未知のアーティストで鮮烈だったのは、山下清と同じ児童養護施設に入ってたっていう子供たちの作品。特に石川謙二くんの作品はかなりヤバいと思う。
そういう意味では図版はカラーで、もっと量も欲しかったけど、あくまで入門的な内容なので、自分でナンボでも深入りしなさいよ、って話なんでしょうね。
評価はB。