『凶悪』

DVD。
上告中の死刑囚からの「告発」を元に、雑誌記者が秘められた連続殺人の究明に執念を燃やすクライム・サスペンス。
「上申書殺人事件」なる実際の事件が元になってるだけあって、迫真性があり、サスペンス/ヴァイオレンス演出も緊張感を持続させてるけど、俺にはどうにも「あさましい」という侮蔑感だけしか惹起され得ず…それは必ずしも殺人に加担した連中に対してだけでなく、藤井の執念の在処やその家族ネタ*1の凡庸な閉塞感も含めて…、いい印象は持てなかった。同系統の作品より…『復讐するは我にあり』はもちろん、『冷たい熱帯魚』のような傾奇系に比べても…インパクトの質が随分と軽い。
俳優陣の演技も、称揚されているほどにはいいものと感じなかったけど、それもあって喚起される「あさましさ」が、まさに監督の演出企図だったとすれば、それはもう素晴らしい仕事だとは思います。

凶悪 [DVD]

凶悪 [DVD]

*1:要るかなあ…。池脇千鶴観てると『大阪物語』思い出してせつなくなるわ。