『トゥルー・ロマンス』

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冴えないコミック・ショップ店員の主人公・クラレンスがコール・ガールのアラバマと出会い、ひょんなことからマフィアのコカインを持ち逃げすることになる、クライム・アクション・ロードムーヴィー。
映画的な凄味を感じさせるのは、序盤のデニス・ホッパークリストファー・ウォーケン*1の対峙シーンぐらいで、後はB級アクションのドンパチやってるだけだけど、なんだか妙に爽やかな味のある映画だった。タランティーノの脚本らしく台詞のキレがいいし(《なんてロマンチックなの!》)、マニア的な小ネタにも(全部は知らんけど)ニヤリとさせられる。らしくない、バカバカしいまでのハッピーエンドにはオカンムリだったらしいけど、不思議とこの映画には似合って見えた。
ラストの銃撃戦の羽根が舞う演出とか恐ろしくベタ*2だし、アラバマの格闘シーンもいまひとつ痛そうじゃなくて、ヴァイオレンス演出に若干の物足りなさはあるけど、マリンバの音色がやたらと能天気なメインテーマも含め、映画の世界観的にはこれでいいのかな。コミックとカンフー映画のオタクから、立派なチンピラに成り上がるクリスチャン・スレーターも、絵に描いたようなブロンド、真紅のルージュのファム・ファタルパトリシア・アークエットも、やっぱり仄かなB級感があって、しかしそれが愛らしい。
カメオ出演の面々も楽しそうで何よりでした。サミュエル・L・ジャクソンの無駄使いもそうだけど、ヴァル・キルマーはあんな顔の見えない演出でOKなのかと、器の大きさを感じました。

*1:ベタに『ディア・ハンター』以来。やっぱいいわ。ちょっとフィルモグラフィ追おうかな。

*2:なぜかボディガードがブチ切れてるのは笑ったけどな。