『ミッドナイト・イン・パリ』

DVD。
ウディ・アレンによるコメディ。アメリカからパリ旅行に来た小説家志望の主人公が、1920年にタイム・スリップする、ファンタジックなラヴ・コメディ。
いや、端的によくできた脚本ですね。フィッツジェラルド夫妻やヘミングウェイピカソにダリにルイス・ブニュエル、文学/芸術史上の偉人たちとのコミカルなやり取りは単純に愉しいし、未知の人名や示唆される小ネタの数々にも、好奇心が常にくすぐられているような感覚があって。
しかしそんなアイデア一発勝負のコメディではなく、過去/現在の二つの恋の決着…特にアドリアナとのそれには、表現/芸術の成就をテーマと感じさせるだけのメッセージ性が潜んでもいて。懐古趣味の甘く退廃的なせつなさが、別離の情景に映えていました。
ウェルメイドって形容がぴったりの、心浮き立つ佳品です。お気に入りのハズのレイチェル・マクアダムスがレア・セドゥに駆逐されてしまったのも、まあ展開上仕方ないでしょう。